■FRPの施工
2011年3月19-20日
3連休を利用して、ランプのFRPを仕上げたいと思います。
基本的な構成は以下の通りです。
<1層目> プライマー
溶剤系ウレタンプライマー。下地の足場板とFRP層の密着を助けます。
下地をコールタールで処理していなければ必要ないかもしれません。
<2、3層目> FRP中塗り
グラスファイバーとポリエステル樹脂のハイブリッド層、ここがいわゆるFRPです。
日本語では繊維強化樹脂といいます。
<4層目> トップコート
FRP中塗りと基本的に同じタイプの樹脂です。
違いは、耐候性(太陽の光や雨に強い)と、空気乾燥性(詳しくは後述)が良いこと、
赤い色がついてることです。
■プライマーを塗る
ここからは靴の汚れに気をつけます。
下地が濡れてしまうと接着に支障をきたしますし、
泥や砂は仕上がりの平滑さに影響します。
塗る前に乾いたウエスで軽く清掃します。
いよいよローラーで塗っていきます。
平米あたり約0.1kgくらい塗ります。ランプ面積は7.5m×4.26m=31.95m^2なので、
全塗布量は約3.2kgです。
塗布量が少ないと下地に染み込んで塗膜にならないし、
逆に多すぎると乾燥が遅くなったり、発泡したりするので注意です。
(中毛ローラーに染まして1回転がせば、だいたい適量になるはずです。)
この日はO方氏も手伝いに駆けつけてくれました。
仕上がりの様子。きれいに塗れましたが、一部コールタールが溶出してます。
まぁしゃあないですね。
■グラスファイバーの準備
一般的なプライマーの乾燥時間は4時間です。
この間にグラスファイバーを準備します。
必要な長さを測って鋏で切ってくだけです。
ごみや石がつかないようにブルーシートを敷いていますが、
調子に乗ってブルーシートごとカットしないように気をつけます。
よく見ると、ファイバーには3本の赤い線が見えます。
真ん中はセンターのガイド、両端はファイバーの重なり部分用のガイドです。
グラスファイバーの幅は約110cmなので、全面貼るにはつぎはぎが必要なのですが、
つぎはぎをする境界部分は、通常10cmほどファイバー同士を重複させます。
上記の両端のガイドは、そのためのものです。
さらによく見ると、ファイバーの両端を見比べると、端部がちょっと違います。
片方はきれいにそろってるのに、もう片方は繊維がフサフサしてます。
このフサフサしたほうを重ねるときの上側にすれば、
うまく馴染んで重複部分の段差が目立たなくなります。
■FRPを施工①
さて、いよいよFRP1層目を施工します。
今回はランプの側面もFRPで覆ってしまおうと企んでますが、これが結構難しく、
大抵うまく貼れずに、エッジのところで隙間が出来てしまいます。
そこで今回、両面テープを試してみました。
ランプ側面に両面テープを貼り、ファイバーをあらかじめ貼り付けておくことにしました。
(結果的にはあまりうまくいかず、ファイバーの折り目のとこで浮いてしまいました。
もっとエッジ部分寄りにに張ればよかったかな、と個人的には思ってます。)
僕はいわゆる「ネタ場」担当です。樹脂の計量と混合を担当します。
こういうのは、一人が集中してやった方がいいようです。
樹脂以外にも計量容器、ウエス、アセトン、ゴミ袋、など万全の体制を整えます。
バケツに入った赤紫の液体が主剤です。
今回はこれに硬化剤(MEKPO)を約1%混合します。
硬化剤の量は気温などによってある程度調整できます。
<樹脂について>
FRPの樹脂部分は、「不飽和ポリエステル樹脂」を用います。
これはベランダや駐車場のFRP防水として用いられるものです。
主剤に対して硬化剤(開始剤ともいう)を混ぜ合わせると、
ラジカル重合という化学反応が起こり、反応がすすむと硬化します。
この手の樹脂の特徴(?)として、硬化の速さが挙げられます。
気温、液温、塗布面温にも左右されますが、攪拌後約20分で硬化が始まります。
しかし硬化と時間の関係は、等速直線的ではありません。
攪拌後15分くらいで、液状から急にゼリー状になって、一気に固まる感じなのです。
15分間くらいは粘度が一定して作業性が損なわれず、硬化も早い、というのが、
建築物などの現場施工用に重宝される所以です。
反面、不安要素もあります。
ラジカル重合というのは、空気や水があるとそれが阻害要因となり、
いつまでたっても固まらない、という厄介な一面を持っています。
「空気があったら固まらないんじゃ使えないじゃん!」
と思われるかもしれませんが、
実際は空気に触れてる最表面だけがベタつくだけで、内部はちゃんと硬化します。
また、最後に塗布するトップコートに空気乾燥性を持たせているので、
滑走面はきちんと固まるのです。
(ワックスが溶かし込んであり、それが塗布表面に浮き上がることで空気を遮断します。 だから硬化前に塗布表面をいじりすぎると、硬化不良の原因になります。)
空気よりも厄介なのが水です。
ジャンプ台は浮いてるので基本周りは水だらけですし、
雨が降ったらジエンドです。
今回の試練は、まさにそこにありました。
さて、いよいよ塗り始めます。
塗るべき場所にガラスファイバーを敷いて、その上からローラーで樹脂を含浸させます。
この日は風が強くて、一度ガラスファイバーが水没してしまいましたので、
角材で押さえつつ、まずは側面から塗っていきます。
みんなで塗り塗りしていきます。
僕は一人ぼっちで混ぜ混ぜします。
あとはひたすらこれの繰り返しです。
この間、女子はジャンプ台の廃材を焼却処分してくれていました。
1層目完了です。 この日はこれで終了~。
■FRP施工②
職人たちの朝は早い。集合は7時半。
この日の予報は14時から雨。
なんとか雨に間に合うようにトップコートまで終わらそう!ってことで7時半集合。
昨日仕上げた塗布表面をよくみると、
こんな感じで浮き上がっちゃったところや、空気がはいっちゃったところが。
こういうのは今のうちにサンダーで削っちゃいます。
急いで2層目を塗り始めます。今度は横向きです。
このあたりからモーリーにルーチンワークの神様とやらが降りてきて、
神業的な仕上がりに。
塗った後、ローラーでトントンするとファイバーに残った空気が抜けるそうです。
2層目完了です。この時点で11時半。急げー!
トップコートの前に表面をサンディング。ファイバーの目をなるべく消します。
トップコートは色つきです。肉眼で見ると茶色っぽかったので、ちょっとブルーに。
(塗ってみたらちゃんと赤でした。)
時間がないのでどんどん塗ります。
O方は「垂れた塗料が固まる前にローラーでつぶす」というよくわからないポジションに。
なんとなく突っ立ってるだけに見えますが、仕事中です。
僕はどんどん混ぜていきます。
あとちょっと、というところで予報どおり雨がぱらついてきましたが、
なんとか全部塗り終えました。
結構きれいに塗れてるように見えます。ちゃんと固まるかしら・・・